自閉スペクトラムの科学的支援にむけて①〜感覚過敏と過剰適応〜
こんにちは。ひといちばい敏感な子(HSC)とママを勇気づけるカウンセリング、セミナーをしています、和田美根子です。
先日、日本心理学会の公開シンポジウム「自閉スペクトラムの科学的支援にむけて」に参加してきました。
場所は、青山学院大学の青山キャンパス。緑が豊かで素敵な所でした。
シンポジウムの内容は、すごく納得できるものばかりだったので、私の意見も交えつつ、皆さんにシェアしますね。
不登校と発達障がい
発達障がいについての認知や理解は、以前よりも広まっているかと思います。
幼児の時に気になる症状があれば、就学前に検査を勧められたりしますし、就学後も、学校に行けなくなったりすると、スクールカウンセラーに検査を勧められるかも知れません。
それで障がい名が診断されて、ショックを受けて受け入れられないお母さんや、逆に診断名がついて、育て方が悪かった訳ではなかったのだとホッとされるお母さんもいるかと思います。
うちの子も、学校に行けなくなった時に検査を勧められましたが、そもそも外出が怖くて出来ない引きこもりの状態なのに、病院に行って、知らない人から何時間も検査を受けられるはずもなく、、結局検査は受けませんでしたが、もしかしたらグレーゾーンだったかも知れません。
私がこれまでご相談を受けてきた中では、知的障がいの無い自閉症=アスペルガーや場面緘黙、多動症のADHDと言われる子が多かったかなと思います。
一口に発達障がい、自閉症と言っても、どのような特徴があるか、どの程度かは、その子一人一人によって違いますので、「自閉スペクトラム障がい」と呼ばれています。
非障がい自閉スペクトラム
今回のシンポジウムで自閉スペクトラム「症」と症を付けないのは、必ずしもその特徴が障がいになっていない場合もあるからだそうです。
自閉スペクトラムの特徴として
- コミュニケーションが苦手
- こだわりが強い
- 感覚過敏
などが主に挙げられるかと思います。
HSCやHSPと重なる部分があるので、混同してしまいがちですよね。
違いは、HSCやHSPの場合は、空気が読める、共感能力が高い、でしょうか。
自閉の場合は、空気を読んだり、忖度などはせずに、”思ったことをストレートに言う”ので、本人に悪気はないのですが、それでコミュニケーションが上手くいかないパターンですが、知能の高いアスペルガーや、自閉特性が軽い人の場合は、経験からどのように対処すれば良いか学習していくので、成長と共に問題はなくなるようです。
ですが、本来は、自分の思ったことをストレートに表現したい気質なのに、社会に適応するために、本音を言わないように我慢するため、ひといちばいストレスがかかるのですよね。
過剰適応と不登校
一見、問題無く、障がいが無いように育っても、本人が過剰適応(必要以上に我慢したり、頑張っている状態)の場合、大人になってから、二次障がいとして、生きづらさを抱えて、鬱になったり、引きこもりになってしまう場合もあるそうです。高学歴で、大企業に就職しても、そうなってしまう人もいますものね。。
ですので、子どものうちに、不登校などで親が子どもの気質や特性に気づいて、対応を変えられたら、それは本当はラッキーなことだと思うのです。
自閉スペクトラムの人は相手の気持ちが分からない、というのが定説ですが、同じ特性を持つ人同士だと、定型発達の人よりも、共感出来る、と言うデータがありました。
むしろ、定形発達の人の方が、自閉の人の気持ちが理解できない数値が高かったのです。
だから、親が定形発達の場合、我が子が発達障がいや、HSCだったとしても、子どもの感覚や感じ方、考え方が理解できないので、頭ごなしに叱ったり、他の子と比べてダメ出ししたり、否定したりしてしまうんですよね。
すると、子どもは
(自分はみんなと同じ事が出来ない)
(自分はダメな子だ)
(自分は愛されてないんだ)
(自分には価値がないんだ)
(こんな子でごめんなさい)
といった、無価値感や、罪悪感を感じて、自己否定や、自分責めを無意識にするようになってしまい、自己肯定感が低くなってしまうのだと思います。これが二次障がいの元になります。
でも、良い子で、真面目で、気持ちの優しい子ほど、お母さんに愛されるために、お母さんを悲しませないように、お母さんを喜ばせようと、頑張って周りに合わせることを学んでいきます。
それは、定形発達の子の何倍も本人の努力を要することなんですよね。
でも、定形の親は、それが当たり前のことと思ってるので、さらにもっと努力して、頑張るように求めてしまいます。
自閉スペクトラムの子や、HSCにとっては、みんなと同じように、学校に行って、教室で授業を受けて、給食を食べて、いろんな活動をして帰ってくるだけでも、ひといちばいストレスを受けて、エネルギーを消費するのですが、家に帰ってもさらに、宿題や塾、習い事など、いろんなことを要求されると、限界を超えてパニックになったり、癇癪を起こしたり、朝起きれなくなって、不登校になってしまったりするのです。
親はどのような支援をすれば?
では、親は、自閉スペクトラムの子や、HSCに対して、どのような支援が出来るのか、というと、良く言われることだと思いますが、「ありのままの我が子を認める」です。
例えば、自閉スペクトラムの特徴として「こだわりが強い」というのがありますよね。
- その子の持っているこだわりを否定せずに、理解して認める
- その子の大切にしているものを尊重する
- その子のペースを尊重する
が大事だと思います。
自閉スペクトラムの人たちは、ストレス解消のため、何か好きなことに熱中する必要があるそうです。そして、解消したいストレスの量が多いほど、熱中する時間が長く必要になるそうです。
定型の人は、”やるべきことを済ませてから、やりたいことをやる”という事がストレスなく出来たりしますが、こだわりの強い自閉スペクトラムの人は、やるべき事で自分のやりたい事を削るのはストレスがひといちばいかかり、身の回りや睡眠を削っても、自分のやりたい事をする事でストレスを発散しようとするそうです。
不登校の子が、ゲームやアニメやYouTubeにハマって昼夜逆転しまうのは、それまで自分がやりたい事をずっと散々抑圧されてきたので、その反動なんですよね。
だから、本人が望んだ事以外は、親が必要以上にやらせようとしないで、大らかに見守る事ですよね。毎日学校に行くだけで、本人は凄く頑張ってるのですから。
本人が、自分からやろうと思った事や、好きな事は、親が言わなくても、持ち前の集中力を発揮して、頑張るはずです。
以前の私は、この事に対して無知だったので、申し訳ないことをしたなぁと思います。
また、自閉スペクトラムの子は、同じ事の繰り返しが好きで、いつもと違うことをするのは好きではありません。HSCも、新しい事や場所は苦手ですよね。
でも、親としては、”色んなことを経験させてあげたい”と良かれと思って、旅行やイベントなど、色々な所へ連れて行ったりしますが、本人にとっては負担なので、大泣きしたり、癇癪を起こしたりして、喜んで欲しくて企画した親としてはガッカリしたり、逆ギレしてしまったり、、私も娘が小さい頃はそんなことばかりでした。。
ですので、親の価値観やペースを子どもに押し付けない事が大事だなと思います。
かと言って、なんでも子どもの言いなりになって、子ども上位にする訳ではありませんけどね。
お小遣いや寝る時間、スペースなど、子どもの年齢によって、ある程度の大枠を親が決めて、その中で自由にさせてあげられると、親も子どもも安心出来るのかなと思います。
過剰適応で大人になった貴女へ
また、ひといちばい敏感だったり、自閉スペクトラムの気質を持ちながら、頑張って無理をして環境に合わせて大人になったお母さんもいるかも知れません(私がそうです)。
すると、自分が我慢して頑張ってきたのに、それをしない子どもを見ると、イライラしてしまったりします。それで、ありのままの我が子を認められなかったりするかも知れません。
そんなお母さんに必要なことは、
- 自分のことも大切にする(自分を後回しにしたり、犠牲にしない)
- 自分がやりたい事を優先する
- やるべきと分かっていても気が進まないことは、余った時間にしたり、人に頼ったり、相談する
を意識してやってみると、良いかと思います。
長くなってきたので、続きの「自閉スペクトラム児童の自分研究」については、また書きますね!