星の王子さま 私の解釈
この絵、何に見えますか?
こんにちは。ひといちばい敏感な子(HSC)とママを勇気づけるカウンセリング、セミナーをしています、和田美根子です。
いきなり、質問ですが、この絵、何だと思いますか?
私は、「茶色い帽子かな?」と思いましたが、、
これは、サン=テクジュペリの「星の王子さま」の冒頭に出てくる挿絵です。主人公の飛行士が子どもの頃、描いた絵で、大人に「これ、こわくない?」と見せても、「何で帽子が怖いの?」と言われてしまいます。
主人公が描いたのは、ゾウを飲み込んだウワバミ(蛇)の絵だったのです。
大人は物事の外側しか見ようとしないのですよね(^ー^;)。そして、ウワバミの絵なんか描くのはやめて、地理、歴史、算数、文法に精を出すように、つまり勉強するように言われます。
飛行士は、本当は絵描きになりたかったのですが、大人にそのように言われ、絵描きになるのを諦めて、飛行士になったのでした。
これって、よくある話だと思うのです。大人が子どもの夢を無意識に良かれと思って潰してしまうんですよね。。私も美大に行きたいと親に言った時は、最初は反対されました。「絵で食べていけるわけないでしょ」みたいな。でも、渋々でも最終的には行かせてくれた親に感謝しています。
飛行士はサン=テクジュペリ自身だと言われています。星の王子さまの挿絵は、サン=テクジュペリ自身が描いていて、本当に子どもの頃は絵描きになりたかったのだと思います。私は、この挿絵が好きで、本を持っていましたが、物語の内容はほとんど覚えていませんでした(^ー^;)
でも、5月に箱根に行った時に、星の王子さまミュージアムに行って、その世界観がやっぱり好きだなと感じました。
そして、先月、絵本セラピストの、ゆざわちはるさんの「星の王子さまと語らう☆絵本DEリーディングカフェ」に参加してきて、ちゃんと小説も読んでみたくなり、改めて読み直してみました。
サン=テクジュペリもHSCだった、HSPなのでは?
世界中で愛されている「星の王子さま」。子どもの頃は読んでも意味がよく分からなかったのですが、大人になって改めて読んでみると、その感性の繊細さ、美しさ、深さに感動します。この感受性の豊かさは、サン=テクジュペリも、ひといちばい敏感な人(HSP)だったのではないかと考えさせられます。
児童書や絵本って、本当はスピリチュアルな内容のものが多いんですよね。物語に何を投影するかは、その人次第で、千人いれば千通りの解釈が出来ると思います。絵本も、アートセラピーの一つなんですよね。
私が本を読んで感じた事を書いていきますが、これが正しい解釈ということではなく、そんな見方もあるのね、くらいに受け止めていただければと思います。
星の王子さまは、サン=テクジュペリのインナーチャイルド
物語は、飛行士と、王子さまの会話で進んでいきます。純粋で優しい気持ちを持った王子さま、、私は読んでいくうちに、これは、大人のサン=テクジュペリと、インナーチャイルドの心の会話、内的対話なのだと感じました。
そう、星の王子さまは、サン=テクジュペリのインナーチャイルド。インナーチャイルドとは、その人の心の中にある、子ども心、童心、本来の自分です。大人になると忘れてしまいがちですけどね。私流に言うなら、王子さまは、サン=テクジュペリの根源的な美しい魂、Beautiful Roots Child だと思うのです。
王子さまは、繊細で、色んな事を敏感に感じ取る、まさに、ひといちばい敏感な、HSCです。
ちゃんと星のお掃除や、お手入れも欠かしません。火山のススをはらい、バオバブの木の芽を見つけたら、取り除きます。これは、星は王子さまの心、精神、内的世界で、王子さまが日々、自分を浄化して、純粋な心を保っているってことなのかな。火山は怒り。怒りの感情を爆発させないように、日々浄化しているのです。バオバブの木は、世間の常識(迷信)とか、親などの大人や他人の価値観。王子さまは自分の世界を大切にして、いつも美しく保っているのですね。
ちなみに、バオバブの木を放っておくと、こんな風になってしまいます。自分の星(世界、心)が覆い尽くされて、見えなくなっています。世間の常識や他人の価値観に囚われすぎて「〜ねばならない」や「〜するべき」が大きくなり過ぎてしまうと、自分の事が見えなくなってしまうんです。自分が何を感じているのか?自分が本当にやりたいことは何なのか?分からないと生きづらいし、苦しいですよね。
そして、王子さまは、一輪のバラを大切に育てています。バラは美しいのですが、プライドが高く、ワガママで、王子さまを困らせます。
バラはサン=テクジュペリの奥さんだと言われていますが、自分が本当に大切にしたいもの、自分が愛しているもの、自分の価値観、かなと思います。
でも、そのバラを置いて、王子さまは旅に出ます。自分の世界を出て、外の世界に行き、様々な大人に出会います。
星の王子さまに出てくる変な大人たち
天文学者
王子さまの星B-612を最初に発見したトルコの天文学者。最初に学会で発表した時は、変な服装をしていたので、誰にも相手にされなかったけれど、
王様のおふれで、立派な服を着て証明し直したところ、受け入れられました。
うーん。割烹着を着て、「スタップ細胞はあります」と言っても、信じてもらえなかった話を思い出しました。TPOは大事だと思いますけど、世間は中身ではなく、見た目で判断される、という風刺ですよね。
王さま
王さまは常に命令しています。ワンマンで権力を持ち、宇宙を支配していると思っています。でも家来は誰もいないのですが。。
そして、命令ばかりして、自分は動こうとしません。王子さまがやっとできた家来だと思って、王子さまが行ってしまうのを寂しがります。王さま、本当は孤独なんですよね。
こんなワンマンな上司、周りにいませんか?あるいは、家の中で子どもに命令ばかりしている親かもしれません。
うぬぼれ男
自分に感心して欲しい、うぬぼれ男。注目して欲しい、褒めて欲しい、認めて欲しいのですね。
美しくなりたい、綺麗で立派な服を着たい、お金持ちになりたい、賢い人と思われたい、、
私の中にも、もちろん、そんな気持ちが無いわけではありません。以前はそんな承認欲求が強かったと思います。でも他者からの承認を求めてばかりだと、幸せや満足の基準が相手次第になってしまうんですよね。
幼少期に、可愛ければ、勉強が出来れば、褒めてもらえる、というような、条件付きの愛情で育てられると、大人になっても、認めてもらうためには、何かが出来ないと、、何も出来ない自分には価値が無い、、というような生きづらさを抱えてしまいます。そんな大人って多いのではないでしょうか。
もし、そんな生きづらさを持ってることに気づいたら、インナーチャイルドセラピーで、大人の自分が、自分を認めてあげられれば、他者からの承認を得ようと必死にならなくても良いので、楽になります。
呑み助
呑み助は、恥ずかしい事を忘れるために、お酒を飲んでいます。何が恥ずかしいって、お酒を飲むことが恥ずかしいらしいのです。
私はお酒が飲めないのですが、、
お酒でなくても、タバコ、ギャンブル、甘いものや、買い物、仕事、恋愛など、中毒になって依存している場合、何か忘れたいことがあるのでしょうね。
以前の私は、子どもの世話を焼くことに中毒になっていたような気がします。子どもに必要とされることで、自分に価値を感じていたのでしょう。だから無意識に過保護・過干渉になってしまってました。
子どもが不登校になって、気づくことが出来て良かったです。親も子どもに依存するのではなく、子離れして、自立することなのですよね。
実業屋
実業屋は、ずっと仕事で数を数えています。星を所有していると思っていて、何度も勘定して、紙に書いて管理しています。でも、王子さまのように、星のために何かしているかと言うと、何もしてないのです。
私も以前勤めていた企業では、売り上げの決算や株価などの数字が何より重視されていたような気がします。お客様のために、社会のために何が貢献できるか、よりもです。私が会社を辞めたのも、そんな空気が嫌になってしまったところがあります。
と言いつつ、今でも、サイトのアクセス数や、メルマガの登録者数、銀行の預金残高をチェックしない日がありませんが、、(^ー^;)それでも、結果よりも、目的やビジョン、プロセスを大事にしていきたいと思っています!
私は、どんな人も、本来の自分=Beautiful Roots Childを大事にして、自分らしく命を輝かせて生きられる世の中になったらいいなというビジョンがあります。特に、子どもたち、豊かな感性を持つ、敏感で傷つきやすい子たちに、そうであって欲しい。そのためには、お母さんが、本来の自分=Beautiful Roots Childを大事にして、自分らしく命を輝かせて生きられること。そのお手伝いをしていきたいと思います。
点灯夫
点灯夫の星は、とても小さいので、夜と昼の入れ替わりが早く、点灯夫は、街灯を常に付けたり、消したりしています。なぜそうするのかと尋ねると、「命令だから」と答えます。
理由も考えず、従順に、ただただ命令通りに、ずっと働いているのです。
勤勉な日本人は、こんな人が多いかも知れませんね。私の夫もそうだったかも。それで身体を壊してしまったかな。。
子どもに対して、親が先回りして、指示や命令ばかりしていると、素直で従順な子は、自分で考える力が育たず、こんな大人になってしまうかも。
私も以前は、良かれと思って、子どもに指示や命令ばかりしていましたから、、やっぱり、子どもが不登校になって、気づいて良かったです。敏感な子は、何事も深く考えますから、理由も考えず、命令通りに行動するのは嫌なんですよね。自分で考えたいのです。だから、子どもに指示や命令するのではなく、話を聴くことが大事なのです。
地理学者
地理学者は、探検家が調査してきた事を記録しています。自分は探検に行かないし、自分の星の地理のことはよく知りません。後世の人のために、記録を取っておくことは有用だとは思いますが、
机上の空論って言いますけど、、働きながら大学の通信学部で心理学を学んでいる時、こんな感じでした。心理学を学んでいる時に子どもが不登校になりましたから、私としては、今まで何を学んでいたんだろう、何のために学んでいたんだろう、、とショックを受けました。
私は経験こそが学びだと思っています。理論を知って、知識が増えても、それを実生活で役立てられてこそ、知恵になるのだと思います。
ですので、私の講座やセミナーは、ただ知識やノウハウ、スキルを知るだけでなく、ワークを通して、自分で気づきを得ながら、感情を感じながら、それを日常生活でどう活かすか、実践を重視して制作しています。受講していただいた皆さんに、日頃の生活で役立てて頂けたら幸いです。
物語に話を戻すと、地理学者は、地球に行く事を王子さまに勧めます。
星の王子さまが地球で出会う生物
ヘビ
王子さまが地球に着いて、最初に出会ったのはヘビでした。ヘビは、物語の中で、重要な役割を果たしています。
ヘビは神話で神の使いだったり、智恵やエネルギーの象徴だったりしますね。
私は、ヘビはこの世(地球)とあの世(王子さまの星)を繋ぐ、シルバーコード(肉体と魂を結びつけているとされる、へその緒のようなもの)なのではないかと思いました。
バラの花たち
王子さまは、自分の星にあったバラは特別なものだと思っていましたが、地球に同じようなバラがたくさん咲いてるのを見て、当たり前のものだったのだと寂しい気持ちになります。
自分は特別だと思っていたけど、広い世界に行ったら、実は平凡だった、自分より凄い人はいっぱいいた、とかってありますよね。
私は田舎の公立の学校に通っていたので、そこでは成績は良かったし、絵も上手いと褒めてもらえていましたが、東京の美大に行って、大きな会社に入って、自分より頭の良い人や、絵の上手い人ばかりだったので、自分の才能の無さ、平凡さを突きつけられたような気がしました。
キツネ
王子さまは、次にキツネに出会います。キツネも神様の使いですが、物語の重要な役割、トリックスターになっています。
私はこのキツネが可愛くて、賢くて大好きです。
そして、キツネの言葉で、王子さまは、自分のバラが世の中に一つしかないことに気づきます。
キツネは、この物語の1番の名言「本当に大切なものは目には見えないんだよ」と王子さまに言います。
どんな人も、この世にたった一人しかいない、かけがえのない存在。そして、一緒に過ごした時間やプロセスがお互いの絆になる。それは、心の目で見ないと分からないこと。。
どんなに平凡に思えても、当たり前なことなど何もなくて、全てが本当はありがたいこと。この世に生まれて、出会って、繋がって、一緒に過ごして、一緒に体験して、一緒に笑って、泣いて、、それらは全て特別な瞬間の連続で、その人にしかない奇跡、宝物なんですよね。
物語の結末
飛行士と砂漠で過ごした後、王子さまは、自分の星へ還るのですが、、別れのシーンはとても切ないです。
「星の王子さま」は、サン=テクジュペリの遺作で、第二次世界大戦でアメリカに亡命したものの、このお話を書いた後、祖国フランスのために出撃し、亡くなりました。この作品を書いている時、死を覚悟していたのではないかなと感じました。
戦争をする大人たちの愚かさ、純粋で美しい子ども心を忘れて欲しくない、というサン=テクジュペリの想いが感じられます。
現在の平和な日本で暮らしている私達も、学歴、地位、名誉などの世間体や、収入の高さや服装など、目に見えるものに囚われているかも知れません。
HSCや不登校の子たちは、そんな大人たちに、目に見えない本当に大切なものを気づかせてくれているのではないかなと思うのです。